認めたくない恋のはじまり

元カレ

篤志とは、去年、合コンで知り合った。

短大の時に付き合ってた人がいたのだが、就職してから彼と別れ、それから彼氏はずっといなかった。
その話を聞いた先輩に、ちょっと強引に合コンに連れ出され、そこに篤志がいたのだ。

ノリが良く、会の盛り上げ役となり、みんなから注目されていた。
輪の中心にいて、見るからに陽キャな篤志を、自分とは違う世界にいる人と思って見ていた。
だけど、篤志にはなぜか気に入られたっぽく、みんなの前でも平気で口説いてこられた。

その押しの強さとノリの良さで周りを味方につけ、みんなからもすすめられるがまま、あれよあれよという間に連絡先を交換していて、篤志に対しての気持ちもわからないまま、いつの間にか押し切られる形で付き合うことになっていた。

流されて付き合いはじめたけれど、篤志は次から次へとアクティブにデートに誘ってきて、よく友人たちにも紹介された。
賑やかで人が集まる場所は楽しくはあったけれど、毎回じゃなくていいと思ってたし、知らない人を紹介されるのも見世物にされてるみたいでイヤだった。

篤志的には、私を楽しませようとしていたのかもしれないけど、彼と会った日はなんだかとても疲れてしまっていた。

彼は、プライドが高く、自分が中心にいないと気が済まないタイプだった。
人から注意されることを嫌い、間違いを指摘されると不機嫌になった。

篤志とは同い年だったが、幼いな、と感じることはあった。

篤志には一度だけ抱かれたのだが、その時は苦痛でしかなかった。
いくら好きだと囁(ささや)かれても、自分本位に荒々しく欲をぶつけられているだけで、大事にされてるとは到底思えなかった。