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別れたつもりがない?
何?聞き間違い?意味がわかんない。
「別れるなんて、一言も言ってねーだろ?あ、長いこと連絡してなかったから拗ねてんのか」
「いや……いやいやいやいやっ、違うよね?お前みたいな女、願い下げだって言ったよね?」
「そんなこと言ったか?あ、あれだろ。よくある痴話喧嘩ってやつじゃん。悪かったって。そうだ!うまいもんでも食って機嫌直せよ。奢ってやるから。な?何食べたい?何でも好きな物言っていいぜ」
なんかどんどん勝手に話進めてるけど、この男の頭の中はいったいどうなってるの?
よくある痴話喧嘩?
機嫌直せ?
痴話喧嘩って、軽い感じの他愛ないケンカのことだよね?
機嫌直せ、て私は怒ってるわけじゃなくて、あなたに恐怖を感じてるの。
できればもう関わりたくないの!
私が篤志のこと好きだとでも思ってるの?
どうやったらそう受け取れるの?
奢るからと言われても、恩を着せられそうでちっとも嬉しくないし、奢ってやったんだからと別の要求をされそうで怖い。
「…………い、いや、です……」
「あ‟?!奢ってやるって言ってんのに、何が気に入らねーんだよ!!」
そう言って近くにあった棚をガンッと殴る篤志。
その音に驚きつつも、一気に過去の恐怖が蘇る。
今の理解しがたい話も恐怖に拍車をかけ、どうしていいか声も出せず震えてしまう。
そのうち力が抜け、立っていられずその場に座り込んでしまった。
そこに助け船が現れた。
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