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しかし、坂上さんは落ち着いている。
「そういうわけにはいかない。志桜里がこんなにも怯えているし、男女の仲の話というなら、僕にも関係ある」
……え?今、志桜里って言った?
「はあ?なんでお前に関係あるんだよ」
「僕は志桜里と付き合っているからね」
「は?」
え?!
今なんて?!
びっくりして坂上さんを見ると、「大丈夫だ」と言われる。
一体何が大丈夫なのか。
必死で考える。
篤志に、関係ないヤツは出てくるな、と言われたから、関係がある彼氏のフリをした?
……あぁ、そうか。
そういうことにしとけば、店だと上司、プライベートなら彼氏として、話し合う場に同席できる理由になる。
要するに、私を守ろうとしてくれているんだ。
「なので、キミが志桜里にプライベートな話があるというなら、僕も同席させてもらう。それ以前に、キミとの関係はもう終わってると聞いてるから、今さら何の話があるのかわからないけどね」
思った通りだ。
篤志は怒りに顔を歪め坂上さんを睨みつけているが、坂上さんも全然負けておらず、鋭い目で篤志を見ている。
坂上さんの方が身長が高いので、篤志が見下ろされる形になっている。
そして、篤志が負けた。
「チッ!あー気分わりー!ここの店員はみんな態度が悪ぃんだよ!!スーツでも作ってやろうと思って来たけど、萎えたわ。やめたやめた!客に対しての言葉遣いもなってねえし!誰がこんな店で買うかよ!
おい!何見てんだよ!!」
最後はまわりの客に当たり散らしながら帰って行った。
「お騒がせして申し訳ございませんでした」
そう言って坂上さんが、まわりの客に頭を下げるので、私も慌てて立ち上がり頭を下げた。
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