元カレ

10/10
前へ
/139ページ
次へ
「顔色悪いけど、大丈夫か?なんか少しでも変だと思うことあったら、すぐ連絡しろ。 ……あ、いや、やっぱりしばらくはオレが送っていくわ」 「そんな!!そこまで坂上さんにご迷惑かけるわけにはいきません!」 「オレが勝手に言い出したことだけど、横田とオレは付き合ってることになってるんだ。最後まで付き合うよ」 確かに付き合ってる設定にしたのは坂上さんで、私からお願いしたことではない。 それでも、そこまでしてもらうのは気が引ける。 「でも、あの人と付き合ってる時も、暴力とかそういった危害を加えられたことはないですし……」 「ダメだ!何かあってからじゃ遅いだろ!…心配なんだよ、お前のことが」 真剣な目で見られてドキッとした。 先輩としての言葉なんだろうけど、男として好意を向けられてる気がしてしまった。 なので、このまま坂上さんの言葉に甘えてしまうことに、やや抵抗を感じる。 もちろん不安ではあるので、誰かが一緒に居てくれる方が安心できるし、ありがたいとは思う。 申し出を断るのも、本気で心配してくれてる坂上さんの善意を踏みにじるかと思い、どうしていいかわからなくなる。 「お前の遠慮なんて受け付けないからな」 考え込んでいたら、坂上さんにそう言い切られてしまった。 まさか犯罪まがいのことはされないだろうとは思うが、恐怖が先行してしまうし、会ってない期間に篤志がどう変わっているかもわからない。 坂上さんがいてくれる方が安全ではあるが…… 坂上さんとのことを誤解されたくない、と思ってる自分がいた。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

623人が本棚に入れています
本棚に追加