モヤる心

3/8
前へ
/139ページ
次へ
ちょっと気落ちしながら食器を片付ける。 すると、坂上さんは(くつろ)ぎモードでベッドに横になり、勝手にテレビをつけて見始めた。 ……え? 私の部屋は1Kで狭い。 テレビの前に小さなテーブルを置いており、ソファなんかはなく、床に座って食事をしている。 そして、テーブルのすぐ後ろにベッドがあり、いつもベッドを背もたれにしてテレビを見ている。 しかし今、坂上さんはベッドに横たわってテレビを見ていた。 狭いから仕方ないし、ダメとは言えないが、何の躊躇も断りもなく他人の布団に横になられたことに、なんだかちょっと心にモヤがかかる。 私の心が狭いのかな? もし、これが美奈だったら? 同じようにモヤるのかと聞かれたら、そうでもないような気もする。 要するに、まだそこまで気を許してないってことかな… 片付け終わったあと、外の様子が気になりベランダに近づいた。 カーテンをあけて覗いてみたが、人影は見当たらない。 そこでふと気づく。 入口側から見られてたんだから、ベランダ側にはいないか。   そんな私の行動に気づいた坂上さんに声をかけられる。 「どうした?」 「あ、いえ、つけてきた人が気になって。まだいるのかな?て。 でも、こっち側じゃなかったですね。ちょっと玄関側見てきます」 そう言って玄関に行こうとしたが、坂上さんに止められる。 「オレが見てくるよ。お前は出るな」 そう言うので坂上さんにお願いした。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

640人が本棚に入れています
本棚に追加