モヤる心

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その後も、つけられてる気配は感じなかったのだが、坂上さんはつけられている、といって部屋の中まで送ってくることが何度かあった。 その度に、当たり前のように上がり込み(くつろ)ぐ姿に、心にモヤがかかりはじめていた。 何度か手料理も振舞っているのだが、料理に関して褒められたことはないうえ、ダメ出しまでされるようになった。私の料理の腕がイマイチなんだろうから、それは仕方ないことかもしれないが、軽く「サンキュ」と言ったあとはすぐベッドに横になっていた。 最初に来た時にビールが飲みたいと言っていたので、アルコールを常備するようになり、食事と一緒に提供した。 だが、ベッドの上に寝転がってビールを飲んでいる姿を目撃した時には、我慢できずに「やめて下さい」と注意した。 私はどちらかというと、ベッドは神聖な場所と考えているので、体調が悪いわけでもないのに、ベッドの上で飲食することには抵抗があるのだ。 そう説明すると「結構細かいんだな」などとシラけた顔をされた。 不服そうではあったけど、注意したことはやめてくれた。 付き合っているわけじゃないし、坂上さんには迷惑をかけてしまっているので、細かいことをいろいろ言うのは違うのかもしれない。 だけど、どうにもモヤモヤが募ってきて美奈に相談したかった。 私の心が狭いのかな?と。 だけど、美奈は今かなり忙しいようで、メッセージの返信は翌日になったり、たまに社内で見かけても、険しい顔して同僚と話しながら早歩きしてたりして、とてもじゃないけど声が掛けられなかった。
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