和解

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和解

それから少しして、紳士服売り場より連絡があった。 また篤志が来たらしい。 ただ、謝りに来た、と言っているらしく、前とは様子が違い、危険な感じはしない、と。 そうは言っても、以前篤志につけてこられたかもしれないので、緊張もしていたし、売り場へ向かう足取りも重かった。 ちなみに、今回は坂上さんへの連絡はしないで欲しいとお願いした。 あんなことがあった後で、ろくに会話もしてないのに、こんな時だけ頼るのも違うと思うし、話がややこしくなりそうだったからだ。 「よ。また呼び出して、すまないな」 会ってすぐ、すまない、という言葉を口にした篤志に驚く。 確かに、前とは違いイライラした感じはなく、落ち着いてそうだ。 なにより、彼を纏う雰囲気が違った。 「どうしても一言謝りたくて。今少し時間いいか?」 「うん」 こんな気遣いができたのか、と感心しつつ、売り場の邪魔にならぬよう、ベンチが置いてある休憩スペースまで連れて行く。 心配した売り場の子が同席しようとしてくれたが、大丈夫だと言って断った。 ただ、時々様子を窺うので、見えるところに居てくれと言われた。 その申し出はありがたかった。 篤志が落ち着いたトーンで声を発する。 「今まで、いろいろごめん。 ちょっと、うまくいかないことが続いてイライラしてた。ホント、ごめん!」 篤志が頭をさげ、謝罪する。 こんなことは初めてなので、動揺してしまう。
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