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「あれ?シャワーはいいの?」
「あ、えと……」
答えにつまっていると、彼が私の全身を見て少し考えて言う。
「もしかして、帰ろうとしてる?」
「…………」
どうしよう。正直に言って帰らせてくれるものなの?
「今日休みだよね?」
「……はい」
「じゃ、そんなに慌てて帰んなくてもいいじゃん」
「いや、その、………し、しなきゃいけないことがありまして……」
「……ふうん………」
探るような眼でじっと見つめられる。
私の視線はキョロキョロと落ち着かない。
「じゃ、車で送ってくよ」
「え?!いやいや、大丈夫です!」
送られたりなんかすると、家がバレてしまうではないか!
「それとさ。さっきから、なんか、すげーよそよそしいよね?」
ギクッ。
ここはもう潔く、覚えてないことを伝えて帰らせてもらおう。
「あの!実は、ですね。大変申し上げにくいのですが……、私、その……昨日の記憶がなくて、あなたが誰なのかもわからないんです!」
「……はぁー、マジか………」
大きくうなだれる彼。
「どこから?」
「え?」
「記憶ないの」
えっと、確か昨日は…………
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