和解

6/6
前へ
/139ページ
次へ
「え?もしかして、誰かにストーカーされてんのか? あ、言っとくけど、オレじゃねーからな!」 「あ、うん。わかってる。……たぶん、気のせい。大丈夫」 「ホントに大丈夫か?ちゃんと彼氏に助けてもらえよ」 「あ、うん。そう、だね」 篤志がつけてたのは一回だけ。 しかも、部屋に入ったのを確認したあとは、すぐ帰った…… 「あー、その……、悪かった。彼氏にも謝っといて」 彼氏、か…… 坂上さんに疑念を抱いてしまう。 「これでキッパリ諦めるから、最後にちゃんとフってくんね?」 篤志はケジメをつけて前に進むために、今日ここに来たんだな。 「篤志……。好きになってくれてありがとう。でも、篤志の気持ちには応えられない。ごめんなさい」 「うん。……わかった。ありがとう。それと、今までホントごめん」 そう言って立ち上がる。 「志桜里、幸せになれよ。じゃーな!」 去って行く背中に向って「篤志!ありがとう!」と言うと、篤志は少し振り向いて片手をあげて返事した。 話せてよかった。 篤志の態度の裏には、そんな気持ちがあったんだとびっくりしたし、全く気づけなくて、付き合ってるときは怖くて苦痛だったけど、やっぱり私の態度もよくなかったな、と反省した。 そして、坂上さんに対して、不信感が残った。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

663人が本棚に入れています
本棚に追加