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「ん?どした?やっぱりなんかあったの?」
「あ~……あのね。坂上さんのことなんだけど……」
「何?ホレた?」
「いや、ホレたとかいうんじゃなくて」
「気になる存在になったんじゃないの?」
気になる……
そう言われて、坂上さんに勘違いされたことを思い出す。
私は、あれ以上坂上さんに甘えられないし、申し訳なくて「気にする」と言ったのであって、好意の意味で坂上さんが「気になった」わけではない。
私が考え込んでしまっていたので、美奈が勝手に話を進める。
「うんうん。そうだよね。だってほとんど毎日送ってくれてたんでしょ?なかなかできないよ。優しい頼れる先輩じゃん!というか、坂上さんは志桜里のこと好きなんじゃない?」
好き?
好意を持たれていたのかどうかはわからないけれど…
「…どうかな?でも、勘違いさせちゃったみたい」
「勘違い?」
そして、送ってもらったあと、坂上さんを家に上げた時のことを話した。
「坂上さんには凄く感謝してる。送ってくれたこともそうだけど、篤志が諦めたのだって、坂上さんのおかげだと思うし……
感謝してるのは間違いないし、そのお礼でご飯作ったりはしてたけど、なんてゆーか、尊敬できる先輩でしかなかったのよ。家には上がってもらったけど、なんかいつも居心地が悪い感じがして落ち着かなかったし」
「…そっか」
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