迷う心

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でも、いくら優しくされたからといって、進藤さんは初対面だったし、何の感情もなかったはず。 それなのにあんなに満たされてしまったのは、それほど体の相性が良かったということだろうか。 気持ちがないのに、体はしっかり満たされるとか、なんかちょっとイヤだ… 「それって、やっぱ志桜里があの人に好意があった、てことじゃないの?」 「…私、その初めて会った時のことを思い出せないんだけど、私があの人に好意があるように見えたってこと?」 「うん。珍しいな、て思って見てた。だってさ、元カレのせいで、男の人に対して苦手意識があったでしょ?それなのに、志桜里から近寄ってたから」 あの泥酔してしまった日は、篤志と別れて半年くらいは経ってたと思う。 男性に対しての恐怖心は和らいではいたものの、苦手意識は若干残っていて、誰かと付き合うとかはまだ考えられなかった時期だ。 そんな時に、自分から男性に近寄って行ったことが信じられないし、普段の私なら、絶対にそんなことしてないと思う。 お酒の力って怖い。 でも、ふと思う。 それって、隣にいる人が誰であっても同じだっただろうか。 もし、相手が悪ければ、もっと酷い仕打ちにあってたかもしれないのに。 進藤さんだから、あの程度で済んで良かったのかもしれない。 あの程度というか、夜の記憶はないので、実際どうだったのかはわからないけれど、私の記憶の中にある進藤さんの私に触れる手つきは優しかったので、きっとそんなに酷いことはされてないように思える。
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