迷う心

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「ちょっと聞くんだけど、志桜里はあの人とどこかで会ったこととかない?」 「え~?……ないと思うけど」 思い返すけど、会った記憶なんてない。 そう言ったところで、この間店に来てたことを思い出す。 「あ!あっちは客として店に来てた可能性はあるけどね。この前来てたし。」 「え、会ったの?」 「会ったというか、篤志と揉めてるとこ見られてた」 「まじか」 もしかして、よく買い物に来てるのかな? だから、私は記憶になくても、向こうは知ってた、とか? 「もしかしたら、何か案内したことあるのかもしれないけど、私の印象には残ってないよ。でも、なんでそんなこと聞くの?」 「う~ん、なんかねちょっとね、初対面っていうには違和感あったこと思い出して……ねえ、ところであの人の名前なんだっけ?」 「進藤だよ」 「そうだ、進藤だ!そう言えばあんたが、しんろーしんろーて言って、女王様が執事に命令するが如くいろいろお世話させてたわ」 え?私、呼び捨てにしてたの? 女王様が執事に命令するが如く、て私って凄く態度悪い… そのうえ、あの朝の私の言いがかり… 進藤さん、なんだか申し訳ないです。 今度会うことがあったら、ちゃんと謝ります。 あーでも、進藤さんに、私の彼氏は坂上さんだ、て誤解されたままだな。 なんとなく、誤解されたままはイヤだな、なんて思ってしまっていた。
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