迷う心

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 * 「志桜里さん!」 「あぁ、早苗ちゃん。お疲れ様」 岩元さんのことは、あれ以来早苗ちゃんと呼ぶようになった。 「お疲れ様です。この間教えてもらった講習、昨日行ってきたんですよ!」 「お、早速行ったのね!どうだった?」 「凄い勉強になりました!でも、実際目の前で誰か倒れて、あの行動が咄嗟にできるかと言われたら、たぶんできません」 「私もそうだよ~。絶対パニックになりそうだもん。でも、何をすればいいか知ってるだけでも違うと思わない?」 「そうですね」 早苗ちゃんと調査に出かけてから三週間が経過していた。 救命講習はだいたい月に一回か二回しかないので、あれからすぐに申し込んだのかもしれない。 行動が早いな、と感心する。 「そっか……私もそろそろ行こっかな~」 「え、志桜里さん去年受けたんですよね?今年も受けるんですか?」 「うん。いざっていう時動けそうになくて不安だから、毎年受けようかと思って」 「えー!凄いですね!」 「いやいや、自信がないだけよ。講習は受けても、現場で対応したわけじゃないから」 やり方を知ってはいても、いざって言う時、パニックで頭が真っ白になるかもしれない。 そのリスクを少しでも回避するためには、回数をこなすしかないと思ってる。 まだあの坊主頭の人いるかな~。 担当が誰になるかはわからないけど、あの人だったらいいな。
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