記憶のない朝

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動けずにいると、体を反転させられ、口をふさがれる。 なんっ?! 慌てて抵抗するも、男の人の力に敵うはずもなく、あろうことか舌の侵入を許してしまう。 顔を固定されていて、なかなか逃げられない。 彼とのキスは中毒のようで、徐々に力がぬけていく。 抵抗しなきゃと思うのに、力が入らない。 強引にされて、イヤなハズなのに、気持ちよくなってしまう。 あ……ヤバいかも…… 思考力が落ち、何も考えられなくなる。 ひとしきり堪能された後、唇を離した彼が言う。 「ほら、そんな顔見たら帰せないって」 さらに、 「オレら身体の相性すげーいいと思うんだ」 と続ける。 その言葉に、 こういうことがしたいからまだ一緒にいたいの? もしかしてセフレにされそうになってる?! そう思ったら再び腹が立って、気がつけば彼を突き飛ばしていた。 「絶対なりませんから!!」 捨てゼリフを吐いて、今度こそ彼の家をあとにする。 「………ならないって、何に?」 唖然とした彼が、そう呟いていたとも知らずに。
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