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「こら!田上くん!真面目にやって!」
女性指導員が田上さんを注意する。
「やってますよ、マジメに~」
「若いコ見るとすぐこれなんだから。ごめんなさいね~。今日なんて特に、かわいいコ前にして張り切っちゃってるみたいで」
「真鍋さん、そりゃ仕方ないでしょ!オレが軟派者みたいに言いいますけどね、これくらいの年齢の男だったら、誰だってかわいいコと楽しくお喋りしたいですよ、普通は。女に興味ないのなんて進藤さんぐらいなもんですよ」
「…………え?」
「え?」
空耳?
「今……、進藤さんて……」
「あぁ、オレの先輩なんですけどね。合コンとか女の子がいる店とか来たがらない、変わった人がいるんですよ!あの人もしかしてゲイなのかな」
そこに、さっきの女性指導員の真鍋さん?が口を挟む。
「こら!失礼なこと言わないの!進藤くんは真面目だから、田上くんみたいに誰でもいいわけじゃないの」
「えー、でも彼女いるとか聞いたことないっすよ」
「彼女じゃなくても、一途に想ってる人がいるでしょ、あれは」
「なんでわかるんですか?」
「女の勘」
「うわ、アテになんねぇ!」
二人の会話を聞きながら、動揺してしまっている。
進藤なんて名前、よくあるし、私が探してる進藤さんじゃないかもしれないのに。
他の人から同じ名前を聞いただけで、こんなにもドキドキしてしまっている。
ああ…、ダメだな、私。
その後、なんとか全ての実技演習を終わらせる。
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