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お昼ごはんに付き合ってくれという田上さんに連れられて、消防署から少し歩いたところにあるファーストフード店にやって来た。
「コーヒーだけでいいって言ってましたけど、これ、良かったら食べてください」
そういってフライドポテトを差し出される。
「あ、ありがとうございます」
「あと、すいませんけど、オレ腹減ってるんで、普通に食べますね」
「あ、それはもちろん、気にせずどうぞ」
ハンバーガーにかぶりつきながら、ところどころで田上さんが話しかけてくる。
「落ち着きました?」
「はい…。もう大丈夫です。驚かせちゃいましたよね。すみません」
「いえいえ。なんかワケありっぽいですけど、とりあえずこれ、進藤さんの連絡先です。勤務中はスマホあんまりいじってないみたいだから、返事は遅いかもしれないです」
そう言ってスマホを差し出されるも、そこに映し出されているのは、無料のメッセージアプリの画面だ。
これは名前を検索しろということだろうか。
「……えっと」
「あ!そうですよね!失礼しました!えーと、じゃあ、まずオレの連絡先を入れてもらっていいですか?それから進藤さんの連絡先送りますので。で、その後オレが横田さんの連絡先消すので、そこまで一緒に確認して下さい」
「いえ、わざわざ消されなくても大丈夫です」
田上さんのスマホに私の連絡先が入ることを気にして、目の前で削除すると言ってくれたのだろう。
意外と気を使う人なんだな、と好感がもてた。
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