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自覚
あれから一週間、
結局いまだに連絡できてない。
沈んだ気持ちで出勤し、それでも勤務中は笑顔で接客。
終業時にタイミング良く美奈を捕まえることができた。
「は?!それでまだ連絡してないの?呆れた~」
美奈に話を聞いてもらって、出た言葉がそれ。
「やっぱり……言われると思った」
「でも、志桜里って恋に憶病になっちゃうタイプなんだって実感できたわ。メールひとつ送るのに、こんな悩んじゃって……かわいー!」
「別にそんなんじゃないし」
美奈にバカにされた気がして強がった。
「直接会う約束を取り付けるだけでしょ?何を迷うのよ」
「…いや、失礼な文章になっちゃいけないと思って」
「すぐに連絡しない方がよっぽど失礼だと思うけど」
「う…」
一度タイミングを逃してしまうと、なかなか送れなくなってしまってるのも事実。
「そっか~。再会できたのか~。運命的な再会をした二人はついに!」
「ちょっと、美奈さん?一人で盛り上がるのやめてもらっていいですか」
「志桜里もやっと進藤さんが好きだって自覚したのね」
好き……?
でも、彼のどこに惹かれたの?
だって、居酒屋で会った夜のことはほとんど記憶にないので、実質彼と過ごしたのは目覚めてからの数時間だけ。しかもその時間のほとんどはベッドの中。
それで彼に惹かれたとかいうなら、まるでセックスが良かったから好きになった、て言ってるみたいじゃん。
「でも、そんなの、体が良かったから惹かれたみたいで、…なんかな~」
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