自覚

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「じゃあ志桜里は、過去の男たちの何が良かったから好きになったの?」 そう言われて過去に好きになった人たちを思い出してみるも、彼のここが良かった、なんて明確に覚えてなくて、どこが良かったんだっけ?と考えてしまった。 「ほらね。そんなもんよ。人を好きになる理由にこだわる必要ある?何がキッケカでもいいじゃん。頭で恋してるわけじゃないんだから。案外体の方が素直なんじゃないの?元カレや坂上さんはイヤだったんだから」 篤志はそもそも好きという感情がないまま付き合ってたし、坂上さんは尊敬できる上司ではあるけど、キスされてイヤだった。 でも、進藤さんはイヤじゃなかった。 私に触れる手は優しくて、安心できた。 もしそれが、他の女性にも同じように優しく触れてると思ったら、凄く嫌だと思った。 進藤さんと再会した時、胸が苦しくなった。 坂上さんとのことを、誤解して欲しくないと思った。 これって…… 認めたくなかったけど、私は進藤さんが好きなんだ…… そんなことを考えていると、なんだか顔が熱くなった気がした。 「好きだ、て自覚したあと彼に抱かれたらどうなるかな~?楽しみだね」 「美奈!変なこと言わないで!」 でも確かにそうである。 あの時は、進藤さんのことはなんとも思ってなかったはずなのに、それでも満たされたし気持ち良かったのなら、気持ちが通じ合ったあとの行為ならどうなるんだろう。 そう考えて赤くなってしまい、慌ててその思考を振り払う。 いやいや、進藤さんには別に想い人がいるかもしれないのに。
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