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二人は部屋に入っり、一瞬立ち止まって部屋全体を見回した。
あまり広くない空間だが、部屋全体がそれを補うような豪華さである。
イタリア製の碧色のシリックダブルベットに、それと同じ色のカーテンに、木製のディスクとその上に置かれた自国製のヴィンテージデスクランプ、21灯あるゴールドのクリスタルシャンデリア、二脚の白い肘掛けのアンティークチェア、2つのチェアの間に置かれた正方形の硝子製の机、さらにチェアの横に置かれた90度に曲がったスタンドライト、そしてそれらの下に敷かれた大きな円形のレッドカーペット―
2人は大まか見回した後荷物を置いた。
ローレは窓の外を見に行く。
小さくなった噴水と、見覚えのあるようでない建物が並べられていた。
冬でも、部屋の中は蒸し暑かったので、ローレは暑がりな弟のために窓を開けた。
自然の冷気が窓の外から押し寄せてきた。
心地いいとは言えないほどの涼しい風が吹いている。
ブレンは両親に関するファイルに入れられた資料を全てトランクから取り出していた。
残された資料は、何年か前の新聞と、ネットの記事、そして自分たちの記憶のみだ。
ブレンは僅かな資料を硝子の机に置き、肘掛けの白いアンティークチェアに座った。彼は全部の資料に目を通していった。
なにやらと気分が不安定のようだ。
ローレは振り返ってブレンを見る。
そして淑女らしく反対側のアンティークチェアに座り、いつものように腕を組みながら椅子にもたれ掛かった。
彼女は常に腕を組んでいる。心配そうに弟を見ていた。
弟は食べ終わりがけの飴を咥えながら不満げな顔で資料を眺めている。
世間の人から自分を離れさせたがっているのか、それとも本当に悩み事があるのか、彼はよく不機嫌な顔をしている。たとえ本当に苛々している訳でなくても。
彼は手の資料を見つめながら、幼い頃の記憶を蘇らせていた。
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