翌日

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「グ、グググッ!」 ジズがリヒトを逃すまいと翼を動かす。 行かせるか! 目眩ましと足止めのためにブレスを放つ。 「ググッ!」 二度も当たるか、と腹立たしげにジズがなき、後方に飛んだ。 悪いが、通させるわけにはいかない。 ジズが俺を見、いきなり高度を上げた。 身構える。 と、上空から赤く燃えるジズが急降下してくるのが見えた。 あのまま体当たりするつもりか。 速度はあいつの方が上だ。避けられない。 が、避ける必要はない。 来い、受け止めてやる。 「ググググ、ググッ!」 炎の塊が俺の腹に直撃した。 翼を前に動かして衝撃を和らげる。 どんどん下に向かって落とされていく。 ジズは離れない。 ある程度勢いをつけてから離れ、俺を地面に叩きつけるってわけか。 意外にダメージが入ったが、この程度問題ない。無視してやる。 目の前のジズの頭に食らいつく。 「グググ!?」 ジズが頭を振って俺の牙から逃れようとする。 牙が折れそうだ。 だが、離すわけにはいかない。 俺は用意していた魔力光線を、頭を咥えたまま放った。 「グルゥゥッ!!」 「グ!?グググギィッ、」 ドォッ! ジズの頭が爆ぜた。 『古代竜 ケイト は Lv.4になりました スキル「闇魔法・シャドーブレス」「闇魔法・影縄」「闇魔法・爆影」を獲得 』 レベルが上がった。 ジズの巨体が、ゆっくりと地面に落ちていく。 ふう。 か、勝った。 何か「闇魔法」ってやつを獲得できたようだ。 今度使ってみよう。 暴れるジズに噛み付いていたせいで、顎が痛い。 よし、次はリヒトを探さないと。 「…?」 少し体がふらつく。 さっきのジズの攻撃で、HPの7割近くを持っていかれたようだ。 速度は力になるというが、確かにあの速度で攻撃力が上乗せされているんだろう。 頭を横に軽く振り、翼を動かしてリヒトを探し始めた。 ええと、確かこっちの方に飛んで行ったはずだ。 あ、そうだ。 ジズを拾っていこう。 昼ごはんは巨大ローストチキンにでもするか。あのカモメのローストチキン、美味かったからな。もう一回食べたいと思っていたところだ。 木々を下敷きにしていたジズの肉を見つける。 右の翼の付け根を両手で持つ。 うぐっ、重い。 こいつ、何メートルくらいあるんだろ。30メートルくらいかな。 俺の4倍はあるもんな。 食べごたえがありそうだ。 また、あの火を吹くフレアピッグに調理してもらわないとな。
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