翌日

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神様さんとケイトを待っていると、突然木々の間からふっと影が落ちました。 まさか、ケイトから逃れたジズ? 僕は思わず身構えました。 「あ、いた。これ、お土産」 ジズではなく、ケイトでした。 よかった…! ケイトは人化しはじめ、 「うわぁ!?」 ケイトが持っていたジズの肉が落ちてきました。 僕はギリギリで避けられましたが、神様は翼の下敷きになってしまいました。 「うぐ、苦しい…」 「あ、ごめん」 ケイトが慌てて翼をのけています。 「置いていくのは勿体無いと思って。昼ごはんは、大きなローストチキン」 ローストチキン…いいですね。 カモメは小さめでしたし、これは食べ応えがありそうです。 なら、またあの豚さんに焼いてもらわないといけませんね。 「食べきれる?」 「食べられるだけ食べて、残りは…なんとかする。」 そうですね、ジズの肉は大きいので、食べきれないかもしれません。 もし余ったらどうしたらいいんでしょうか? まあ、それはその時考えましょう。 「なあ、これ焼いてくれないか?」 ケイトが、豚さんに話しかけています。 近くを通りかかったので、ジズを焼いてもらおうと思い、ケイトが交渉する係になりました。 豚さんは足をガクガクふるえさせていました。 「火を吹いてくれるだけでいいから、だめ?まあ確かにちょっと大きいから手間だけど、お願い」 豚さんは、ケイトの言葉が聞こえているのかいないのか、ブルブルふるえて動けないでいます。 今回は、捕まえてくるんじゃなくて、お願いしようっていうことになりました。 が、この調子じゃ、豚さんに伝わっているかどうかもあやしいですね。 「あのさ、捕まえないし、追いかけて食べもしないし、力ずくで、とかしないから、お願い」 「…ぶ、」 あ、豚さんが反応し、 あれ? 豚さんはジリッと後ろに下がり、 「ブヒィィィ!」 豚さんはくるりと後ろを向くと、逃げ出しました。 「あっ、逃げた!」 ケイトがしっぽを掴んで、ぐいっと引き戻しました。 「な、痛いことはしないから。」 「ブブ、ブヒ、ブヒィ!」 豚さんが、既に痛いと訴えています。 「な?お願い、焼いて」 「ブヒィィッ!」 また豚さんが逃げようとしました。 「だめだって!」 「ブ、ブヒィイィ!」 またしっぽを掴んで引き戻し、豚さんが悲鳴を上げました。 これじゃ十分力ずくですね。 でも、豚さんには伝わっていないようなので、ちょっとなら大丈夫だと思います。 昼ごはんが楽しみです! 結局、半ば力ずくで豚さんにジズを焼いてもらいました。 「ん、美味しい」 「美味しいですね!」 「うん、美味しいなぁ!」 脂がのったジズは、カモメより美味しかったです。 ごちそうさまでした! 「結構余ったな」 「ですね」 ジズは、三分の一くらい余ってしまいました。 うぅむ、どうしましょう? 「どうせ移動する時は竜だし、持っていくか」 「いいと思います」 「明日の朝ごはんだね〜」 ジズの肉は、明日の朝ごはんに決定しました。 そして僕たちはまた、飛びはじめました。
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