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翌日。
僕達は、洞窟の入り口に立っていました。
なんでこんなに早く、洞窟を出ることができたのか?
答えは簡単です。
巣を出てから僕達は魔物たちに避けられ、逃げられ、最初に出会ったのは、空間魔法が使えるアラクネでした。
「あのさ、」
ケイトが話しかけると、アラクネは表情を恐怖に歪ませ、空間魔法で逃げようとしました。
「あ、待て!」
ケイトがそう言うと、アラクネはおとなしく魔法の構築をやめ、諦めたようにケイトに「すきにしろ」、と目で訴えていました。
「いや、俺達は別に食おうとか考えてるわけじゃなくて、その空間魔法で俺達を洞窟の入り口まで連れて行ってくれないか?」
ケイトがそう説明すると、アラクネは目を見開いていました。
「あ、あなタはこだいりゅ、だロ?なゼ?」
片言でしたが、言葉を話しました。
これは交渉がはかどります!
「えっと、人探し」
ケイトがそう答えると、アラクネは少し考えると、「分かっタ」と言ってくれました。
「あなタたち、逆らえルわケない、だかラ、従う」
蜘蛛のほうの足がガタガタ震えていたのは、気のせいだと思います。
…ごめんなさい、嘘です。
僕達って、なんでそんなに怖がられるんでしょう?
…やはり、古代竜だから、でしょうか。
うーむ、何もしないのにあんなに怖がられると、なんだか申し訳ないです…。
とりあえず、そのアラクネのおかげで、僕達は今、アートイス大陸にある洞窟の入り口にいます。
ずっと巣で生活していたので、生まれて初めて日光を浴びます。
まぶしいですね。これが太陽…!
こうして僕達は、予想より早く洞窟から出ることができました。
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