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あの屈辱的で羞恥な自分の姿を、
樹に見られてしまったのだ。
しばらく考え込んだ後、口を開いた。
「あの……お願いがあるんだど……」
「何だい?」
「僕がされたこと誰にも言わないで欲しいんだ」
「なっ! そういうわけにいかないだろ。いくらなんでもあれは犯罪だぞ!先生に言ってなんとか……」
真白の頼みに樹は反論する。
「やめてっ! こんなこと知られたらみんなに迷惑がかかるし、それにこれは僕への罰なんだ。助けてもらっといてこんなこと言うのなんだけど僕のことは、ほっといて」
「馬鹿っ! あんな現場見てほっとけるかよ!? それに罰って何なんだよ!お前があいつらに悪いことでもしたのかよ!?」
樹が声を荒げた。
二人の間に沈黙の間が流れる。
「……ごめん……助けてもらったのに勝手なこと言っちゃて……」
しばらくしてから、真白は口を開き謝罪した。
「俺のほうこそ、怒鳴って悪かったな。でもよ、罰とか言われたって訳わかんないだろ。せめて、どういうことなのか話だけでも聞かせてくれないか? そうでなきゃ納得できないぜ」
樹の言葉に迷ってしまう。
しかし、あの過酷な姿を見られた上、自分を救ってくれた恩人には話だけでもするべきであろう。
「あの……どうしても無理ならすぐじゃなくていいからな」
「ううん……僕、話すよ」
真白は自身の過去のページをめくり、語り始めた。
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