芽生えた気持ち

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 樹が夕食にと、サンドイッチとプリンを買ってきてくれた。  熱が下がったものの、まだ食欲は湧かないので、サンドイッチを二口とプリンだけを口にしただけだった。 「せっかく買ってきてくれたのにごめんね。まだ食欲が湧かなくて……」  「気にするな。それにしても病み上がりに食べる物じゃなかったよな。俺の方こそ気がきかなくて悪かったな」 「今、毎日、独りなの?」  樹の家に家族がいないことが気になり、真白は訊ねてみた。 「ああ、親父が海外勤務になったからお袋と妹はついてっちまって、俺と兄貴だけが残ったんだ。その兄貴もしばらく出張でいないから、今は1人暮らしを満喫してるよ」 「そうだっんだ。ご飯とかどうしてるの?」 「ほとんどコンビニ飯かインスタントラーメン、兄貴がいたときはそれなりに作ってくれたけど俺は料理したことないしな」  確かに部屋の中の状態を見る限り樹は家事などしないようだ。  脱ぎ散らかした服、埃の積もった部屋、高校生男子が1人で過ごすには仕方ないのかも知れない。 「何かと不便なんだね」  真白は呟いた。
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