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「何だ、誰かいるのか?」
不審に思い、ミルクと共に足を速める。
「ひいぃっ……!……うぎゃあぁぁぁ!……痛ぁいっ…… 」
悲痛な叫び声は、秒刻みにだんだんと大きくなってくる。
入口からは死角になって見えなかった場所に、数人の集団が遠目に見えた。
気になって近づいていくと、ビシッバシッと何かを強く叩く音が聞こえる。
その集団は、自分の学校と同じ学生服を身につけている男子生徒だ。
「あぁぁっ!…… 痛いっ!……たすけて……」
救いを求める言葉を耳にしたのと同時に、ミルクが吠えたてる。
彼らが振り返った。
それは見覚えのある顔ぶれだった。
隣のクラスの森下と吉野と加藤だ。
他の男子達の中には、上級生も交じっている。
彼らは素行が悪く、虐めやカツアゲのような悪行が絶えないという噂だ。
「なんだ!?誰か来たのか?」
「ヤバイぜ。一旦ずらかるぞ」
樹は柱の影になる場所にいたため、気づかれてはいない。
森下達の集団は、反対側の出入口から一目散に去っていった。
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