傷だらけの人形

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 さっきまで冷たかった身体が、毛布を掛けられたように温かくなったような気がする。  ここはどこだろう?  もしかしたら天国かな?  だとしたら嬉しいな。  お父さん、お母さん、お姉ちゃん達に会えるかも知れない  真白は霧のベールに覆われた中にいた。  しばらく歩いた後に光が指した。  その中に懐かしい顔ぶれが浮かびあがる。  なんと、それは亡くした家族だったのだ。  写真だけしか顔を知らなかった母  穏やかでお人好しの父  家事が得意で母親代わりをつとめてくれた長姉の優香  ファッションセンスの良い美人の 次姉の愛里  いじめっこから庇ってくれた、男勝りで活発な三姉の陽菜  両親と年の離れた三人の姉達は、真白に笑顔を向ける。  ああ、やはり僕は天国に来ることが出来たんだ。  胸がいっぱいになり家族に駆け寄る。 「お父さん、お母さん、優香お姉ちゃん、愛里お姉ちゃん、陽菜お姉ちゃん、会いたかったよ」  しかし、彼らは寂しげな顔でゆっくりと首を振ると遠ざかっていく。 「嫌だ! 行かないで もう僕を一人にしないで!」  この世界は苦しみしかない。  家族を死なせた罰だと堪えてきたけど、もう心が限界を迎えている。  もう痛くて苦しい思いをするのは嫌だ。    助けて……。  真白は目の前から姿を消そうとする家族に、救いを求め続けた。
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