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帰宅後、樹が息をついてソファーに座った。
妹が去った後の、彼の表情は寂しげだ。
「あいつ、台風みたいなやつだったな。真白を振り回しちまって悪かったよ」
「ううん。そんなことない。僕は美咲ちゃん大好きだよ。お姉ちゃん達にちょっと似てるところあるし、一緒にいて飽きないしすごく楽しかった。可愛い妹が出来たみたいで嬉しかったし」
正直、少し強引な美咲に振り回され、疲れることもあった。
しかし彼女にはどこか憎めない愛嬌があり、元気を与えられたのだ。
「そうか?そう思ってくれるんなら良かったよ。あいつは末っ子のせいか、我が儘で無鉄砲だが、ああ見えて話の分かるいい奴なんだ。それに根は寂しがり屋で可愛いところもあるしな」
樹が妹を思う兄の顔をする。
彼の新しい一面を、新たに発見する事が出来、真白にとって樹との絆が深まったように感じた。
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