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暗い高校生活を送る鬼崎にとって、神林は唯一の親友だった。ふたりの共通点はひとりの女性への絶対的服従だった。とはいえ、その女性はクラスメートのマドンナでもなければ、憧れの女教師でもなかった。
ふたりが絶対服従を誓った女性は、当時絶大な人気を誇っていたライトノベル『マジカルスクール・ノッペルベッペ』の主人公、紅蓮の女魔術師アヤカ様だった。
ふたりが通っていた高校の最寄り駅にあった商業ビル、そこには小さな書店がはいっていた。ライトノベルのコーナーで床に座り込み、本を読みふける神林の姿を鬼崎は幾度となく目撃していた。
鬼崎は、神林のオーラから迸るオタクのバイブレーションを敏感に感じとった。類は友を呼ぶ――鬼崎は本棚の陰で大きく頷いた。
しかし、人見知りだった鬼崎は、違うクラスの神林になかなか話しかけることができなかった。それでも清水の舞台から飛び降りるつもりで、ある日、神林に声をかけた。
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