第2話 長い商店街

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 案の定、神林は熱烈な『マジカルスクール・ノッペルベッペ』ファンであり、熱烈なアヤカ様信徒だった。同じ趣味をもつふたりが仲良くなるのに時間はかからなかった。  それからの3年間、ふたりは休み時間や放課後の多くを共に過ごした。誰もいない中庭の片隅で、ヒソヒソ話をするふたり。そんなふたりを訝しんだ周囲の悪童どもは彼らを揶揄し、同性愛疑惑を吹聴した。  いじめに近い行為も多々あった。オタクとホモ達のレッテルを貼られたふたりは、悪童に取り囲まれ、小突かれることが多かった。  耐え切れず、鬼崎が泣き出すと神林は「泣くな、龍昇、アヤカ様にお仕置きされるぞ」と小声で励ました。  子供じみた周囲の批判と中傷にも負けず、鬼崎と神林はアヤカ様への愛と服従を貫いた。  大学受験までの期間、彼らはお互いの家を交互に訪問し、共に勉学に勤しんだ。  アニメ化された『マジカルスクール・ノッペルベッペ』を一緒に鑑賞し、朝まで語り合ったこともあった。そんなときだけ、不器用なふたりは学校生活の辛さを忘れることができた。  そう、ふたりは無二の親友だった。
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