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「ああ、わかった。すぐいくから、ちょっと待ってて」
続いて神林は、素早く鬼崎のほうを振り返った。
「今日はタイミングが急すぎらぁ。あっ、すみちゃんって俺の娘の名前ね。澄玲っていうんだ。すっげー、かわいいぜ。よし、龍昇、今晩、嫁にOKもらうからさ、明日の夜にまた会おうぜ。ちょっとここで待っててくれ」
云うやいなや、神林は店のカウンターへ戻り、メモをしたため始めた。神林の細君はそんな亭主の横顔をなおもねめつけている。
「龍昇、これ俺のスマホの番号とLINEね」
戻ってきた神林は鬼崎にメモを渡した。
「じゃあ、そうだな……、明日の夜8時にまたここにきてくれ。この近くにある俺の行きつけの店に行こうぜ」
興奮する神林の表情をみていると、なんとなく鬼崎の曇った気持ちに明るい光がさしこんできた。鬼崎とて、この突然の再会を喜んでいた。
「あっ、それからさ、このまままっすぐ50メートルぐらい歩いた右側にSilver Moonっていう小さなバーがあるんだ。その店やってる子がさ、おまえと同じ中学出身なんだよ。優紀ちゃんっていうんだけどさ。おまえ知ってる?」
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