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ここは何処だろう…。
目の前が真っ暗で何も見えない。目を開けているのかすらわからない暗さだ。
辺りを探ろうとする。しかし、手足が固定されていて、全く動かない。
手足だけでなく、身体全てが動かすことができない。
「おーいっ!誰か!」
叫んでみても、山びこのように自分の声が返ってくるだけだった。
どうゆうことなんだ…
ふと、男は昨日の出来事を思い出した。
パシンッ!
教室内に響きわたった。
教師が生徒を叩いた音。
「またお前は携帯でテレビなんか見やがって…。そんなに俺の授業はつまらないのか!?」
生徒に平手打ちをした教師が言う。
「そんなに俺の授業が受けたくないなら、外に出ていろ!」
教師が怒鳴っている。
すると、左頬を押さえた生徒が口を開いた。
「失礼ですが先生…。先生の授業は、ただ教科書をなぞっているだけの授業なんです。将来、テレビ業界に就職したい僕にとっては、先生の授業よりも、日々変わっていく情報のほうが大事なんですよ。」
生徒は教師と目線を逸らさずそう言った。
「くだらん。人間なんてのは情報などいらないんだ。生きていけるだけの食事と、睡眠、寝床さえあれば生きていけるんだ。」
教師は嘲笑うかのようにそう答えた。
教師が教卓に戻ろうとすると、
「では…賭けをしませんか、先生…。」
教師の背後から生徒が言った。続けて生徒はこうも言った。
「古代ギリシャには、人間を椅子に固定し、暗室に放置するとゆう拷問があったそうです。栄養のある食事は与えますが、情報を一切与えません。すると人間は数時間で発狂してしまうという拷問が…。」
男はハッとした。今がその状況なのかもしれない。
男は状況を確認しようと、神経を集中してみる。
すると、口の中に管が通っているのに気が付いた。吸ってみると、ドロッとした、無味無臭の液体が口に流れてきた。
男は悟った。これがあいつの言っていた拷問なのだと…。
「誰か!誰か助けてくれっ!」
叫んではみたが、やはり自分の声しか聞こえなかった…。
「落ち着け、落ち着くんだ…。人間が一人いなくなってるんだ。外では大騒ぎのはずだ。その内助けがくるさ…。」
男は自分に言い聞かせた。
しばらくすると、睡魔が訪れ、男は眠りについた…。
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