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 入学式が終わって次の朝、まだ荷ほどきされていないダンボールの山の中で私は目を覚ました。  ベッドの横の壁には緊張を包み込んでくれた新品のスーツがハンガーにかけられている。  ドアを隔てたキッチンの方からは冷たい空気が入り込んできたが、雫石の風に比べれば暖かく感じた。  冷蔵庫には昨日急いで買った卵とベーコン、ミニトマトが入っていて、私は新品のトースターに食パンをかけてから、ダンボールと睨み合いをしてフライパンを取り出した。
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