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「あとになって、水月と一緒に歌うのが楽しかったんだって気づいた。初めてなんだ。誰かと一緒に歌っていて、楽しいと思ったのは」 「そうなの?」 「そうだよ。だからさ、水月はもっと自信を持っていいんだ。俺が保証する」 ファンが喜ぶと思って、必死に練習した片目を積むってみせると、ようやく水月は笑ってくれた。 颯真はホッと肩の力を抜くと、立ち上がった。 「食べ終わったら、出発までもう一度、歌とダンスを確認しようか」 「いいの? ソウ君が付き合う必要はないのに……」 「いいから、いいから。俺も緊張しているんだ。人前に出るのは、久しぶりだからね」 食べ終わった食器を運ぶ颯真の背に、「意外。ソウ君は緊張しないと思ってた」と水月が呟いた。 「俺だって緊張するよ」 肩ごしに振り返りながら、颯真は答える。 水月と初めて立つステージは成功させたいと、そう思ったのだった。
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