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十二年後
十二年後。
アタシは結婚し、女の子を一人授かった。
さっきまでは元気に遊んでいたが、今はアタシの側で静かな寝息をたてている。
子供を育てるのは大変だが、学ぶことも多い。
アタシはこの子を通し、命の重さや、責任を強く噛み締めるようになった。
十二年前のアタシはどうかしていたとはっきりと思う。
例え石の力だったにしても、三人の人間が死んだことに変わりない。
この子も大きくなって、アタシに酷い言葉を浴びせてくるかもしれない、冷たい目でアタシを見ることも否定できない。
それでも、この子を守っていきたい。自分のした罪を償うためにも。
アタシは自分のしたことを決して忘れない。この子に触れて、肌の温もりに触れる度に思う。
アタシは娘を起こさないように、そっと立ち上がった。
「真央、いい子にしててね、ママご飯の支度するから」
アタシはやんわりと娘に声をかけた。
幸せと罪悪感が交差する日々はこれからも続く……
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