初めての冒険

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初めての冒険

何度も…何度も… 穴を掘るかのように僕は挑戦した 失敗する旅に毎回… 僕には才能がない この世界で生きる才能がない 過去の偉人が残した言葉 [努力] それを信じて、僕は今日も変わらない日常と言う穴を掘る日常に期待する だが、世界は甘くない そんな努力を嘲笑うかのように 私の期待を裏切る 毎日… 毎日… 僕は一年程前に勇者と呼ばれる方に会った 会ったと、言うより、見た パレードのように、その勇者が、そのパーティーが皆の中心を歩く その様子を、皆に近づけない僕は遠くで眺めていた 勇者最強 勇者不老不死 そんな噂が何百年も続いている 容姿は、男にも見えれば女にも見える なんとなく神にも見える不思議な人物だった けど… そんな無敵の勇者様が僕には、疲れ果てているようにしか見えなかった そして… その勇者様は、現れては死んでいった 最強とはなんだろう 不老不死とはなんだろう? あれだけ勇者様と持て囃された勇者が死ぬ そのパーティーが、全滅する… 皆が言う勇者とは… その答えを探す僕は、今日 [冒険者]としてギルドに登録申請した 今までの趣味とは違い正式に 今日、16才を迎えて正式に冒険者となれた僕は、ギルド待機場所へと向かった ギルド待機所に居たのは鮮やかな防具を着た人達 いかにも強そうな剣士 いかにも頭の良さそうな魔術師 いかにも腕の立ちそうな医術師 いかにも巨体で筋肉質な武道家 いかにも強そうな怪物を連れている獣従者 他にも、能力はわからないけど、異端者と呼ばれる方 遥か田舎から来た僕には、感動しかない 初めての正式なギルド登録に僕は胸を踊らせる 入り口からまっすぐ向かったギルド受付のテーブルに向かった 僕がテーブルの前に立つと、受付の若い女性の方が 「初めまして こちらの街は初めてですか?」 と言った 「えっと、その…初めてと言うか、僕も冒険者になったばかりで…」 「どちらから来られましたか? 冒険者の証をお願いします」 「あ、これですか?」 僕は冒険者の証を彼女に差し出した 「えーと…シャイルさん? 初めまして、私は受付のコニーです そうですねぇ…… 新しい冒険者さんだと、難易度や、報酬の高いクエストは………って!!出身がラーディッシュ?!」 「ラーディッシュ?!」 なぜか、場にいた皆さんが振り向く 「あ、はい…すいません 初心者で…その…僕弱いから、村から離れた場所でやり直したくて…」 そういうと、皆は、なんだ…そんな事かと、顔を元に戻した 受付の彼女も ああ…でしょうね 見たいな感じで言葉を続ける 「私も冒険者さんを危険な目には合わせたくないので、この依頼を受けて貰えないでしょうか? とにかく最初なので、無理をしないでくださいね」 ニッコリと彼女が微笑みながら、一枚の紙を僕に差し出した  
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