1. 過ち

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が、私に刻まれた恐怖の対象の効力は、それが望むように作動した。  しばらく駆け回った私は突然に目的を思い出し、脚に急ブレーキをかけた。  私たちの教官は本当に怖い。子どもだろうが、容赦なく拳を振ってくる。何も成果がないまま帰ったら最悪私が殺されるかも知れない。  だから私は仕方なく、ターゲットを探し始めた。  自分が生きるために誰かを殺さなければいけない事に対する違和感は、既にその頃から持っていた。  しばらく探しても、こんな夜に人が行き交う様子もなく、私は段々焦り始めた。  教官に言い訳は通用しない。  だから、必ず「収穫」が無いと、私は死ぬよりも酷い目に遭うだろう。  あの人たちには情けも人道も備わっていないからだ。  すると突然、私の前に誰かが立ち塞がった。暗い色の長いズボンを履いた二本の脚に遭遇したことでそれを知った。  見上げると、それは平らな帽子を被った男の人だった。  この服装は確か...  「お嬢ちゃん、どうしたの?こんな時間に。」  地上の人に出会ったのは初めての事で、私はぼうっと見上げていると、その人はしゃがんで私に目線を合わせた。  腰にさした棒状の物。スーツ。光る、花のマーク。  間違いない、「警察官」と言う人だ。  「おうちの人は?一緒じゃないの?」  警察官は優しく微笑んで言う。人はこんな柔らかい表情が出来るんだと、初めての経験に呆然とする。
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