1. 過ち

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1. 過ち

ピピピピッ ピピピピッ 目覚ましの音。まだはっきりしない意識のままそれに手を伸ばし、手探りで叩く。このままベッドに入っていてはまた寝てしまいかねない。何とか体を起こし、布団をはぐ。 窓に向かい、カーテンを勢いよく開く。眩しさで一瞬目を瞑るが、慣れた手つきで窓を開ける。そして朝の光と風を浴びる。 今日はいい天気だ。とても気持ちがいい。 こうすることはいつの間にか日課となっていた。晴れの日も、雨の日も、朝のその情景を目に焼き付け、1日を始める。 今日のような日はとても好きだ。 自然の光や風が、私の身も心も浄化してくれるような、そんな気がするから。 私は松下玲奈。今は高校二年生で、地近くの高校に通っている。 「今は」というのは、少し前までこの明るい世界にいなかったことを意味している。 この世界には光と闇がある。その2つの世界、闇に私は居た。 闇とはどこまでも暗黒で、光が見えることはない。そこでは共通の恐ろしい目的のため、人々が生きている。 この世界では決して許されないもの。 それは、人殺しだ。 彼らは誰にも見つからず、地下空間に自らの基地を作り上げ、計画や訓練を日々行っている。 10年程前に出来たその組織。初めは犯罪者を成敗するため、正義を語って人殺しを続けていた。次第に話が膨らみ、人間という存在を忌み嫌う人々の集まりと化してしまった。 つまりは、初めは犯罪者殺しをする、いわば『ダークヒーロー』であったのだが、今では何の罪もない一般市民までも殺す、凶悪な殺人者と化してしまったのだ。 彼らにいわせれば、無差別ではないらしい。 殺すにはそれなりの理由がある、と。 だが、私からすれば、というか、正常な思考の人であれば、どう考えても彼らがしてることは無差別殺人と映るはずだ。        
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