ソソッカ シーナ の異世界転生

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 「だいたいさぁ、こんなの背負ってオフィス回ったって無駄だよね。しかも、パーキング代ケチって電車と徒歩なんて。営業車で住宅地担当してるやつら、うらやましい。」  俺の愚痴を、鶴葉はため息で返したきた。  「依頼された納品数や請求書の数字をすぐ間違える椎名さんと組まされてる僕の方が、一番不幸ですよ。」  鶴葉のため息も仕方がない。実際、僕と組むようになってから、鶴葉の売上成績は右肩下がりなのだから。  夕方、直帰する鶴葉と駅前で別れ、会社に向かう。ロータリーの角で、いつもの音が耳に入る。  マツモトヒトシ♪  そこで1つのポップに、目を引かれた。マツモト ヒトシのプライベートブランド『ごっつうめぇ感じ』が大々的に売り出した新商品。エナジードリンク『ダンダンアップ』  ~ダンダンアップで翼を授かる~ というキャッチフレーズは、なんともいかがわしさを感じる。  うちの会社は、勤務中にライバル企業の店で買い物は御法度だと知っている。無性にほしくなったのか、それとも出来心なのか、理由はよくわからない。しかし、なんとなく購入してしまった。  店を出てすぐ、怒鳴り声が聴こえた。  「こらー、ソソッカ。なんでマツヒトからお前が出てきたんだ。」  慌てて振り返る。いや、振り返ろうとした刹那、急に目眩と激しい頭痛がした。  「そそっかー」  目の前が真っ暗になり、何も見えない。  「そそッカー」    意識に曖昧になって行く。  「ソソッカー」  ただ、俺を呼ぶ声だけが聴こえている気がした。
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