ソソッカ シーナ の異世界転生

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 目を覚ます。見覚えのない天井に違和感を覚える。目の稼働範囲だけで周囲を探るが、やはり見覚えがない。  いつもと違う目覚め。アラームが鳴った覚えがない。寝坊したかと焦りながら、枕付近をまさぐりスマホを探すが、無い。  慌てて上半身を起こす。やはり見たことの無い部屋。スーツ姿で寝ていたようだ。どこかのホテルに泊まっただろうか、必死に記憶を手繰り寄せながら、目に映るものから情報をかき集める。映画の中に出てくる西洋のお屋敷。その一室のような部屋。  天井の高さ、内装、窓の形、家具のデザイン。それが、安いビジネスホテルのそれとはまるで違う。窓から入る光が、今は日中であることを教えてくれている。  状況が飲み込めずベッドに座っていたら、部屋のドアが開いて一人の女性が入ってきた。  「お目覚めになりましたね」  透き通るような美しい声。絵に描いたような金髪の美人。そして、アニメの中でしか見たことが無いようなメイドドレス。驚きと混乱は、より深まっていくばかり。  状況を把握できていない僕に、詳しい話は謁見の間で行われると、女性が説明してくれた。促されるがままに部屋から出ると、扉の左右に衛兵が立っている。西洋の甲冑を着たその姿に、一目で衛兵だと分かる。  僕の前を女性が歩く。女性の前と、僕の後ろには甲冑の衛兵。甲冑がから金属が擦れる音が響く。  一見するとコスプレか夢の国のアトラクションの中のような状況。しかし、女性や衛兵、洋館の廊下、それらに違和感は無い。広々とした豪華な廊下とマッチしているからだろう。むしろ、コスプレしているのは、スーツ姿の僕なのかと思えてくる。  仰々しいホールに出た。そこにも数人の甲冑がいる。槍を持って立っている。微動だにしないそれは、置物なのではないかと思えてくる。一番大きな扉には、両サイドと真ん中に甲冑がいる。  金髪女性が、真ん中の甲冑に話しかけると、両脇の甲冑が扉を開けた。
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