若さゆえ

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若さゆえ

 ティカラジマン株式会社ーー。  会社見学を経て、いよいよ一次面接がこの会社でも始まった。リモート面接が当たり前になったこの時代、面接官の目も年々厳しくなってくる。リモートは互いに安全で便利な反面見えない部分も多くあり、面接官はそれを見抜く目を養わないと、企業はとんでもない人材を入社させることになってしまう。  例えばーー。面接では明るく爽やかな印象を見せた男は実はネガティブで仕事に消極的だったり、面接官が応募者にその場で起立するよう求めたら上はワイシャツと上着なのに下はスウェットだったり、そんな事例を踏まえ、面接官は質問をしながら視野を広げ、厳しい目を向けなければならない。  そんななか、松永翔平は面接官が特に厳しいと評判の健康器具を扱う会社に応募した。ティカラジマンと言えば、家庭用の健康器具からジム用のものまで幅広く取り扱い、全国に多くの支店を構える優良企業だ。  やはり面接官がいい人材を見抜いたからだろうか。売上は右肩上がり、就活生の企業魅力度ランキングでも堂々の1位となっている。
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