若さゆえ

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「よし。面接開始まであと10分くらいか。念のためペットボトルもそばに置いておこう」  準備は完璧に。面接はグループ面接で、当然その最中はどんな理由があろうとも決して席を外してはならない。前もってトイレも済ませ、髪型も整え、前髪もさらっと自然に流した。 「こんなもんか」  今から始まるこの面接の最大の難点は、グループ面接ということにある。  通常なら面接官と向き合うだけで、応募者とは横並びで目が合うことなどない。しかしリモートとなると応募者全員の目が、画面を通して黒い水玉模様のように画面いっぱいに広がる。面接官数名と十数名の就活生が全員はじめましてのこんにちは。 「それでは一次面接に入ります」  緊張が高まる。応募者はそれぞれ画面に映る他人の話し方や失敗を学びながら自らの面接に立ち向かう。翔平も他の人の面接姿勢を食い入るように観た。 「それで、貴方は3年間続けた部活で何を学びましたか?」 「は? 僕は4続けました。履歴書にそう書いてありませんでした?」  
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