若さゆえ

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ーー何だよ。突き返したらダメじゃん。  翔平は心で思いつつも、その感情を顔や言葉に表さない。全員の面接が終わるまで画面表示は変わらないため、他人の面接時も常に自身も面接官に見られているのだ。 「では15番。山中ヒカリさん。貴方はご自分を動物に例えると何だと思いますか」 「え? えっと……。ア、アリです」 「それは何故ですか?」 「よく働くからです」 「アリは何をしているのですか」 「働いています」 ーーあぁ。この子の頭は真っ白だな。  面接官は〝動物で〟と聞いたのに虫を言ったし、働く内容を聞いているのにまた〝働いている〟と話を逆戻りさせた。その後山中は返答違いに気づき、すみませんと謝った。誰もがもうアウトだろうと思った山中のひたむきな姿が逆に好印象だったのか、端の面接官が頷いていたことを翔平は見逃さなかった。  次は翔平の番。喉を潤し画面をキッと睨む。
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