イグアナ

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 私は二十三歳で達樹くんはもう直ぐ二十五歳になる。私は一人暮らしなので達樹くんは昼間にコーポに遊びに来る。私は事務の仕事をしていて達樹くんは営業職だ。だから週末の昼間はお互い暇だ。なのでちょくちょく部屋で会っている。だがあくまで昼間だけ。平日も週末も夜にこのコーポの中で会うことはない。 私たちは仕事がある日でも外にご飯を食べに行くことはよくある。出掛けるときに迎えに来てくれることはあるが夜は玄関までだ。私はまだ嫁入り前だ。  コーポに帰って達樹くんに電話を掛けた。今日は会う約束をしてない。昨日駅前で遅くまでお好み焼きをしながらお酒を飲んだからだ。今日は寝不足で会社に行った。 『もしもし、達樹くん?イグアナを貰うって言ってたでしょう。今日水槽を見に行ったら大きいものじゃないとダメだって言われたの。見たら一人で車まで運べる大きさじゃないの。明日一緒にペットショップに行ってくれない?』 『ああ、いいよ。仕事が終わったら夢佳ちゃんを迎えに行く』  私は残業する予定がないので承諾した。  私が住んでいるコーポは和室が二部屋あってキッチンがある。トイレとお風呂は別だ。和室は水色のカーテンで観葉植物をたくさん置いている。ハートのような形をした葉っぱのポトスに細長い葉のサンスベリア、木の幹から上に向かって葉を広げる幸福の木。私は癒される部屋を作りたくて多種多様な観葉植物をカラーボックスの上に並べている。
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