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「僕の時間を聡にあげたい」
聡が眠っている間に、毎日数時間。
それが、モモの願いだった。ユキの願いとちょうど逆。残りの寿命の半分を聡の時間に替えてほしいと頼んだのだ。
年の瀬の夕暮れ時、遠くからクリスマスソングが聞こえていた。
昼と夜の間の時間に、三日月町の猫たちはモモのために魔法の集会を開いた。
「本当にいいの?」
「うん」
ハナビは寂しそうだった。
「ほんの少し時間が短くなるだけだよ。虹の橋を渡るのも、まだ何年か先だし」
それまで仲良しでいてねと言うと、ハナビは諦めたように頷いた。
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