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ボクはネコ
ボクはある日、一人の老人に拾われた。
雪の中その老人は、散歩をしていたらしく箱の中で丸くなっているボクに気が付いたらしい。
とても寒いひだった、ボクは死にそうになっていたらしい。
気が付くとそこは、暖かいダンロの前に寝かされていた。
老人は寝ていた…ボクが「にゃー」と鳴くと老人は「元気になったかい?」と言ってきた。
ボクはフシギだった…言葉がわかるわけでもないボクに何故声を掛けてきているかと思っていた。
次の日、ボクは恐る恐る老人へ近づいてみた。
初めての匂いだった。
優しい金木犀の匂いだった。
老人は近づいたのボクに優しく微笑んで暖かいミルクを出してくれた。
それから、老人が毛糸で何かを作っていた。ボクは床に転がる毛糸の玉が気になり遊び始めると老人は、嫌な顔一つせず笑顔で遊んでいるのを見ていてくれた。
そんなある日、老人は毛糸が無くなったと言い近所へ買いにでかけたまま一日帰ってなかった。
次の日も次の日も…ボクはまた一人ぼっちになった。
ある日、家に知らない人が入ってきた。その人はボクを見て「ばぁちゃん猫飼ってたんだ」と言いボクを抱き上げ言った「ばぁちゃんねぇ…死んじゃったんだ…買い物から帰る途中、車に…」と言い泣き出した。
ボクはまた、外で住むのかと思った。
「君は家へおいで」とその人は言った。あの老人と同じ金木犀の匂いと優しい微笑みだった。
その日からボクは、老人こお墓へ行き、夕方には新しい家へ帰ると言うのが日課になり、新しい家族と遊ぶのも日課、あの時、あの老人に拾われていなかったら、今頃ボクは…そう思っているうちにあの老人に会いたくなり、寂しくなり、思わず泣いてしまった。
家には写真だけがあり、あの優しい笑顔や声、匂いはもう何もないと思った。
また、いつかあの老人に会える日をボクは、待っている。
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