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浮かれたカウントダウン 5
(舞台上)
血が飛び散る暗い路地裏。(もちろん血糊ですよ)
汚れたガラス窓に、くたびれた木の扉。レンガの湿る匂い。鼠が走る排水溝。
濃い霧が漂って来ると、少女が歩いて来る。
浮かれたカウントダウン
血まみれの少女は匂いが苦手。
ドレスの裾から落ちた自分の血に、
足を滑らせながら
鉄さびの匂いに顔をしかめて、
窓ガラスの血文字をしげしげと眺める。
「5。
ねぇ、この匂い何とかならない?」
…○…○…○…○…○…
タキシードの男は客席で苦笑い。
金髪を横へと振り、青い目を伏せる。
「たしかに、死臭は消せないからな」
目つぶしかわりの強いライトが照り付ける。
光りに消されて少女が下がる。
奈落へと足を滑らせる音だけが、舞台から響いた。
気をつけなきゃ、あなたもこれで死臭の仲間入り。
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