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見開かれた目はガラス玉のように見えた。
初めて人が死ぬところを見た直登だったが、自分でも不気味に思うほど、冷静だった。
ヴァノが鮮血を殺ぎ落としてから、刀を鞘に仕舞う。
身体を反転させたヴァノは右頬に返り血がついている。
それを気にもせず、彼は左手を差し出した。
「鞄を」
直登は慌てて鞄を差し出すと、受け取ったヴァノは、それを床に置いて、蓋を開けた。
中に入っていたのは、分厚い古い本だった。
表紙と背表紙に文字が書かれているが、直登には理解できなかった。
「それは、なに?」
直登が尋ねた。
「これは、今まで集めた数多くの宝玉が収められている、魔導書だ。ネックレスほどではないが、エネルギーが宿っている」
ヴァノは言いながら先ほど手に入れた宝玉に視線を向けた。
娘を残して逝くのが哀しかったのか、白などないダークブルーだった。
魔導書の一番新しいページを開いて、宝玉の形に合わせて作られた枠に収めた。
魔導書を閉じて仕舞うと、それを直登に預けた。
二人は二階へ向かった。
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