プロローグ 悪魔との出会い

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 一方、雨を気にせずに歩く男がいる。身長は一八〇センチと高い。フードを目深に被っているので目しか見えない。ネクタイなしのダークスーツを着ていて、ワイシャツのボタンは二つほど開けている。襟元にはチェーンが見えている。黒の足首までのフードつきの外套を羽織っている。右腰には刀を帯びている。両手には革手袋を嵌めている。右手には取っ手つきの四角い鞄を持っていて、革靴を履いている。すべて黒だ。  視界の中に、一人の青年の姿が目に入る。  男の目は色が変わっているだけではなく、それぞれ見えるものが違う。左目を通して見えたのはとても濃い黒の煙。それが、青年の身体から立ち昇っているのだ。  男は思わず、冷たい笑みを浮かべた。
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