第一章 悪魔の住処

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第一章 悪魔の住処

 雨も小降りになったころ、ヴァノに連れられて、ひとつの一軒家に辿り着いた。見た目は普通なのだが、直登は家があることが凄い、と思っていた。  鍵を開けてずかずかと入ろうとして、ヴァノは肩越しに振り返った。 「ドア、閉めろよ」  こくんとうなずいた直登は、入ってすぐドアを閉めた。  ヴァノはドアの鍵をかけると、そのまま、廊下を突っ切る。  キッチンが左側にあり、右側に風呂場とトイレがあるが、ヴァノは目も向けなかった。  直登は後についていくと、ヴァノが振り返った。 「ここがお前の部屋だ」 「僕の部屋? 外で寝なくてもいいの?」  直登の言葉に、ヴァノはうなずいた。 「ここになにがあるか、分かるか?」  少し優しい声で、ヴァノが尋ねた。 「テーブルと、椅子、ベッド。それからあっちには、冷蔵庫とキッチン。天井には豆電球。……見るのは、とても久し振り」  きょとんとしながらも、直登は答えた。  ――家具が分かるということは、最初から外で暮らしていたのではない。  ヴァノは内心でそう判断した。 「人の生活って、こんな感じなの?」 「人に寄るが、大体はな。お前からすれば、特別に見えるかもしれないが。俺は二階にいる。なにかあったら、呼んでくれ」 「ふうん。……分かった」  直登は辺りをきょろきょろと見ながら、声を出した。
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