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「とりあえず、座ってくれ」
直登はそう言われちょっと考えた末に、ベッドに腰かけた。
ヴァノは床に胡座をかいた。
「さっきも言ったが、俺はヴァノ。人間のフリをしているが、〝感情の支配者〟という二つ名を持つ、悪魔だ。千年かけて、人間達から宝玉を集めた。が、俺の望むような宝玉を持っていたのは、お前だけだった。しかも、負の感情ではないのに、あそこまで複雑な色が出せるのかと、驚いた」
ヴァノは淡々とした口調で言った。
「それって、つまり……? っていうか、噂は本当だったの?」
「俺の中では至高の宝玉だったってことだよ。……噂?」
ヴァノが聞き返した。
「感情を宝玉という形にするって噂の悪魔だよ。心が奪われるとかって言われてて」
「まあ、そんな奴、俺しかいないがな」
ヴァノはあっさりと認めた。
ぽかんとする直登に、声をかけた。
「……疲れたろう? もう寝ろ」
「分かった」
直登は納得したようにうなずいた。
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